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バクテリアの情報伝達経路には,ヒスチジンとアスパラギン酸による
リン酸基転位反応によって行われるものがあり,
二成分伝達系と言われます。
外界の環境変化を捉えるセンサーキナーゼ(ヒスチジンキナーゼ)と
レスポンスレギュレータのペアから成ります。
センサーキナーゼのヒスチジンが自己リン酸化によってリン酸化し,
そのリン酸基がレスポンスレギュレータのアスパラギン酸に転移されます。
レスポンスレギュレータ〜は転写因子として支配下の遺伝子発現に関わります。
本実験は,E.coli の 二成分伝達系PhoR/PhoB
のin vitro kinase assayです。
His-tagタンパク質として発現,精製したものです。
「PhoR seif-phosphorylation」 はPhoRがATP存在下で自己リン酸化する様子を
Phos-tag SDS-PAGEで解析したものです。
Zn2+–Phos-tag SDS-PAGEで,シフトアップバンドが見られます。
「PhoB phosphorelay」 はPhoRがATP存在下で自己リン酸化し,
そのリン酸基がPhoB に転移する様子を解析しています。
PhoBがリン酸化したものがシフトアップしていることから
リン酸基転移反応が起こったことが確認できました。
PhoR self-phosphorylation ではPhoR~P が見えますが
phosphorelayでは,即座にPhoBにリン酸基が転移するので
PhoR~Pはほとんど見えません。
ヒスチジンやアスパラギン酸のリン酸基は,化学的に不安定で,
特に酸性条件下で容易に加水分解されます。
アスパラギン酸のリン酸基はアルカリ性条件下でも容易に加水分解されます。
中性条件下でも,両者の半減期は,Ser/Thr/Tyrリン酸基よりもはるかに短いです。
そのため,解析方法が少なく,二成分伝達系の研究例は多くありません。
Phos-tag SDS-PAGEは,このような不安定なリン酸基の解析にも適しています。
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